条文
訴え提起前の和解は、民事訴訟法において、簡易裁判所の訴訟手続に関する特則として規定されています。
(訴え提起前の和解)
第二百七十五条 民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをすることができる。
2 前項の和解が調わない場合において、和解の期日に出頭した当事者双方の申立てがあるときは、裁判所は、直ちに訴訟の弁論を命ずる。この場合においては、和解の申立てをした者は、その申立てをした時に、訴えを提起したものとみなし、和解の費用は、訴訟費用の一部とする。
3 申立人又は相手方が第一項の和解の期日に出頭しないときは、裁判所は、和解が調わないものとみなすことができる。
4 第一項の和解については、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定は、適用しない。
引用元:民法第275条
(和解調書等の効力)
第二百六十七条 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
引用元:民法第267条
訴え提起前の和解(即決和解)の性質
訴え提起前の和解は裁判上の和解であって、民事上の争いのある当事者が、当事者同士で合意がある和解条項を簡易裁判所に持ち込んで、審査を経て、必要に応じて書類追完・条項修正をしたうえで、簡易裁判所がその合意を相当と認めた場合に和解が成立し、指定された和解期日において合意内容が和解調書に記載されることによって、確定判決と同一の効力を有します。
申立てから和解期日指定までは平均1か月程度です。申立書は、東京簡易裁判所の書式を参考にしてください。
費用は手数料2,000円、郵便切手が645円(東京簡易裁判所)や94円(名古屋簡易裁判所)です。
公正証書と異なり、金銭債権以外でも債務名義にできますが、民事上の紛争に限られます。一方で公正証書は、金銭債権に限り、民事上の紛争に限られません。
訴え提起前の和解(即決和解)の要件
訴え提起前の和解は、民事上の争いであり、当事者が請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示することが要件です。(1項)
訴え提起前の和解(即決和解)の申立ての方法
訴え提起前の和解は、民事上の争いであること、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示することを備えて申立てます。(1項)
手数料は2,000円で、郵便切手は名古屋簡易裁判所の場合94円です。
訴え提起前の和解(即決和解)の効果
和解調書は、確定判決と同一の効力を有します。
訴え提起前の和解(即決和解)の失効
和解が調わない場合
和解が調わない場合は、当事者双方の申立てによって、裁判所は直ちに訴訟の弁論を命じることになり、申立者は訴えの提起をしたものとみなされます。(2項)
和解期日に一方が出頭しないとき
和解期日に一方が出頭しないときは、不調となります。(3項)
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