参考
「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」(平成22年4月1日総税都第16号)
「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」(平成22年4月1日 総税市第16号)
統計
不動産取得税の概要
不動産取得税とは、土地や家屋を売買、贈与、新築、増築、改築などにより不動産を取得した者を納税義務者(地方税法第73条の2第1項)として、原則として取得時の不動産の価格(固定資産税評価額)(地方税法第73条の13第1項、地方税法第73条の21第1項)に標準税率4%(地方税法第73条の15)を乗じた額を都道府県が普通徴収により賦課徴収する普通税です。
不動産取得税=課税標準(取得時の不動産の価格=固定資産税評価額)×標準税率4%
住宅や住宅用地に関しては課税標準の特例、税率の特例、減額措置があるため計算式は異なります。
取得とは有償であると無償であるとを問わず、またその原因が売買、交換、贈与、寄附、法人に対する現物出資、建築、公有水面の埋立、干拓による土地の造成等原始取得、承継取得の別を問わないものとして運用されています。
「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」(平成22年4月1日総税都第16号)
不動産の取得の時期は、契約内容その他から総合的に判断して現実に所有権を取得したと認められるときによるものであり、所有権の取得に関する登記の有無は問わないものとして運用されています。
家屋が新築されたとは、事実上家屋の新築が完了したときをいうものとして運用されています。
「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」(平成22年4月1日総税都第16号)
項目 | 内容 |
---|---|
課税客体 | 不動産の取得(地方税法第73条の2第1項) ※以下は取得とみなす。 ※新築(地方税法第73条の2第2項) ※価格が増加する改築(地方税法第73条の2第3項) ※専有部分の取得(地方税法第73条の2第4項) |
非課税 | ・相続・包括遺贈・相続人にされた遺贈による不動産の取得(1号) ・法人の合併又は分割による不動産の取得(2号) ・現物出資による不動産の取得(2号の2) ・共有物分割による不動産の取得(2号の3) ・その他 (地方税法第73条の7) |
納税義務者 | 不動産の取得者(地方税法第73条の2第1項) |
課税主体 | 取得された不動産が所在する道府県(地方税法第73条の2第1項) |
課税標準 | 不動産を取得した時における不動産の価格(地方税法第73条の13第1項) ※改築により増加した価格(地方税法第73条の13第2項) 原則、固定資産課税台帳に登録されている固定資産の価格(地方税法第73条の21第1項) |
課税標準の特例 | 本文に記載 |
免税点 | 土地:10万円未満 建築に係る家屋:一戸につき23万円未満 その他の家屋:一戸につき12万円未満 (地方税法第73条の15の2) |
税率 | 標準税率4%(地方税法第73条の15) ※平成18年4月1日から令和9年3月31日までの間に住宅又は土地の取得が行われた場合は、3%(地方税法附則第11条の2) |
納期 | 条例の定めるところによる(地方税法第73条の16) |
徴収方法 | 普通徴収(地方税法第73条の17第1項) ※納税通知書は遅くとも納期限前10日までに納税者に交付(地方税法第73条の17第2項) |
申告義務 | 登記(地方税法第73条の18第1項) |
住宅用地の減額 | 本文に記載 |
耐震基準不適合既存住宅の減額 | 本文に記載 |
住宅の課税標準及び税率の特例
一定の住宅については、課税標準の特例、税率の特例(時限措置)により次のように計算します。
一定の住宅の不動産取得税=課税標準(固定資産税評価額-控除額)×軽減税率3%
課税標準の特例(控除額)
住宅の種類 | 新築年月日 | 控除額 | 条文 |
---|---|---|---|
【新築住宅】 ・特例適用住宅の新築・改築・増築 ・新築未使用住宅の購入 ┗新築建売住宅 ┗新築分譲マンション ※特例適用住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下の住宅をいいます。(地方税法施行令第37条の16) | - | 1,200万円 ※令和6年3月31日までに認定長期優良住宅を取得した場合は1,300万円(地方税法附則第11条第8項) | 地方税法第73条の14第1項 |
【中古住宅】 個人が自己の居住の用に供する耐震基準適合既存住宅を取得した場合 ※耐震基準適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下の中古住宅(地方税法施行令第37条の18第1項)のうち、耐震基準に適合するものとして昭和57年1月1日以後に新築されたもの、昭和56年12月31日以前に新築されたもので耐震基準に適合する旨を証する書類(取得日前2年以内に調査が終了した耐震基準適合証明書、取得日前2年以内に評価された建設住宅性能評価書の写し、取得日前2年以内に締結された既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約書の写し)を都道府県知事に提出することにより(地方税法施行規則第7条の6)証明されたものをいいます。(地方税法施行令第37条の18第3項) ※耐震基準適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下で昭和57年1月1日以後に新築又は耐震基準に適合する旨が証明された中古住宅です。 | 平成9(1997)年4月1日~ | 1,200万円 | 地方税法第73条の14第3項 |
平成元(1989)年4月1日~平成9年(1997)3月31日 | 1,000万円 | 地方税法第73条の14第3項 | |
昭和60(1985)年7月1日~平成元(1989)年3月31日 | 450万円 | 地方税法第73条の14第3項 | |
昭和56(1981)年7月1日~昭和60(1985)年6月30日 | 420万円 | 地方税法第73条の14第3項 | |
昭和51(1976)年1月1日~昭和56(1981)年6月30日 | 350万円 | 地方税法第73条の14第3項 | |
昭和48(1973)年1月1日~昭和50(1975)年12月31日 | 230万円 | 地方税法第73条の14第3項 | |
昭和39(1964)年1月1日~昭和47(1972)年12月31日 | 150万円 | 地方税法第73条の14第3項 | |
昭和29(1954)年7月1日~昭和38(1963)年12月31日 | 100万円 | 地方税法第73条の14第3項 |
個人が耐震基準不適合既存住宅の取得日から6月以内に耐震改修の実施と耐震基準に適合する旨を証する書類を道府県知事に提出する方法(地方税法施行規則第7条の7)により証明を受け、かつ、居住の用に供したときは、不動産取得税は、税額から新築時に施行されていた控除額に税率を乗じて得た額が減額されます。(地方税法第73条の27の2)
耐震基準不適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下の中古住宅(地方税法施行令第37条の18第1項)のうち、耐震基準に適合するものとして昭和57年1月1日以後に新築されたこと又は耐震基準に適合することにつき、耐震基準に適合する旨を証する書類を都道府県知事に提出することにより(地方税法施行規則第7条の6)証明がされたもの以外のものをいいます。(地方税法施行令第37条の18第3項)
※耐震基準不適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下で昭和56年12月31日以前に新築され、耐震基準に適合する旨が証明されていない中古住宅です。
住宅の取得者が都道府県税条例の定めにしたがって課税標準の特例の適用があるべき旨の申告をしなければ、原則として適用されません。(地方税法第73条の14第4項)
ただし、都道府県は申告がなかった場合においても、要件に該当すると認められるときは、課税標準の特例の適用をすることができます。(地方税法第73条の14第5項)
税率の特例
令和9年3月31日までに住宅又は土地を取得した場合、3%です。(地方税法附則第11条の2)
「令和3年度地方税制改正(税負担軽減措置等)要望事項」(国土交通省)
住宅用地の課税標準及び税率の特例
一定の住宅用地については、課税標準の特例、税率の特例(時限措置)、減額措置により次のように計算します。
一定の住宅用地の不動産取得税=当初税額{課税標準(固定資産税評価額×2分の1)×軽減税率3%}-軽減額
課税標準の特例
令和9年3月31日までに宅地評価土地(宅地及び宅地比準土地)を取得した場合、土地の課税標準は土地の価格の2分の1の額となります。(地方税法附則第11条の5)
宅地評価土地とは、地目が宅地である土地のほか、価格がその土地と状況が類似する宅地に比準して求められる土地をいうものとして運用されています。
「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」(平成22年4月1日総税都第16号)
後述する住宅用地の減額を適用するときは、2分の1にした後の価格が適用されます。
不動産取得コストを抑え、土地の流動化(土地取引の活性化、住宅需要の促進)・有効利用の促進を図るために設けられている特例措置です。
少子高齢化に対応した住生活の安定の確保・向上の促進、居住の安定確保と暮らしやすい居住環境・良質な住宅ストックの形成、市場環境整備、産業の生産性向上、消費者利益の保護、不動産市場の整備や適正な土地利用のための条件整備の推進など、政策目標の実現のための特例措置でもあります。
なお、本特例措置は平成6年度に創設し、これまで継続して延長されています。
「令和3年度地方税制改正(税負担軽減措置等)要望事項」(国土交通省)
税率の特例
令和9年3月31日までに住宅又は土地を取得した場合、3%です。(地方税法附則第11条の2)
「令和3年度地方税制改正(税負担軽減措置等)要望事項」(国土交通省)
住宅用地の減額措置
床面積50㎡以上240㎡以下のマイホームを前提にすると、土地取得日から3年以内に床面積50㎡以上240㎡以下の住宅(特例適用住宅)を新築した場合、築1年以内の土地付き新築建売住宅を購入した場合、同時取得を含む土地取得日前後1年以内に耐震基準適合既存住宅を取得(購入)した場合に、減額措置が適用されます。
特例適用住宅用地(新築住宅の敷地)
以下のいずれかの場合、土地の不動産取得税の税額から、150万円又は「課税標準となるべき価格(令和6年3月31日までに取得した宅地評価土地は2分の1にした後の価格、地方税法附則第11条の5)÷地積×特例適用住宅の床面積の2倍(200㎡まで)」の大きい金額に税率(令和6年3月31日までの間に取得した場合は3%、地方税法附則第11条の2)を乗じて得た額が減額されます。(地方税法第73条の24第1項)
一般的な住宅であれば、150万円ではなく計算式を前提にしてよいでしょう。
土地の固定資産税評価額(宅地評価土地は2分の1)÷地積×200㎡を限度とする床面積の2倍
→課税標準額÷地積×200
- 土地取得日から2年(令和6年3月31日までに土地を取得したときに限り2年ではなく3年、地方税法附則第10条の3)以内に当該土地の上に特例適用住宅が新築された場合(当該取得者が当該土地を当該特例適用住宅の新築時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得者から当該土地取得者により行われる場合に限る)(1号)
- 土地取得日から当該土地を引き続き所有し、2年(令和6年3月31日までに土地を取得したときに限り2年ではなく3年、地方税法附則第10条の3)以内に当該土地の上に特例適用住宅が新築された場合(自分で新築した場合も含む、高知、埼玉、福岡、宮崎)
※親が子のために土地を取得し、子に特例適用住宅を建てさせた場合にも適用できる
※土地付き建売住宅の販売業者も適用できる - 土地取得日から2年(令和6年3月31日までに土地を取得したときに限り2年ではなく3年、地方税法附則第10条の3)以内に当該土地の上に当該取得者から土地を取得した者により特例適用住宅が新築された場合
※土地付き建売住宅の販売業者に適用される
- 土地取得日から当該土地を引き続き所有し、2年(令和6年3月31日までに土地を取得したときに限り2年ではなく3年、地方税法附則第10条の3)以内に当該土地の上に特例適用住宅が新築された場合(自分で新築した場合も含む、高知、埼玉、福岡、宮崎)
- 土地取得者が当該土地の取得日前1年以内に当該土地の上に特例適用住宅を新築していた場合(2号)
※借地上に特例適用住宅を新築してから1年以内にその敷地たる借地を取得した場合 - 新築未使用の特例適用住宅及びその敷地を当該特例適用住宅の新築日から1年以内に取得した場合(3号)
※築1年以内の土地付き建売住宅を購入した場合(その他は新築)
特例適用住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下の住宅をいいます。(地方税法施行令第39条の2の4)
土地取得日から3年以内に特例適用住宅を新築、築1年以内の土地付き建売住宅を購入した場合は床面積要件のみであり、自己居住要件はありません。
耐震基準適合既存住宅等用地(中古住宅の敷地)
以下のいずれかの場合、土地の不動産取得税の税額から、150万円又は「課税標準となるべき価格(令和6年3月31日までに取得した宅地評価土地は2分の1にした後の価格、地方税法附則第11条の5)÷地積×特例適用住宅の床面積の2倍(200㎡まで)」の大きい金額に税率(令和6年3月31日までの間に取得した場合は3%、地方税法附則第11条の2)を乗じて得た額が減額されます。(地方税法第73条の24第2項)
- 土地取得者が当該土地の取得日から1年以内(同時取得を含む)に当該土地の上にある自己の居住の用に供する耐震基準適合既存住宅等を取得した場合
※土地と建物別に贈与もあり得る - 土地取得者が当該土地の取得日前1年以内に当該土地の上にある自己の居住の用に供する耐震基準適合既存住宅等を取得していた場合
※借地や土地と建物別に贈与
耐震基準適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下の中古住宅(地方税法施行令第37条の18第1項)のうち、耐震基準に適合するものとして昭和57年1月1日以後に新築されたこと又は耐震基準に適合することにつき、耐震基準に適合する旨を証する書類を都道府県知事に提出することにより(地方税法施行規則第7条の6)証明がされたものをいいます。(地方税法施行令第37条の18第3項)
※耐震基準適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下で昭和57年1月1日以後に新築又は耐震基準に適合する旨が証明された中古住宅
耐震基準不適合既存住宅等用地
以下のいずれかの場合、土地の不動産取得税の税額から、150万円又は「課税標準となるべき価格(令和6年3月31日までに取得した宅地評価土地は2分の1にした後の価格、地方税法附則第11条の5)÷地積×特例適用住宅の床面積の2倍(200㎡まで)」の大きい金額に税率(令和6年3月31日までの間に取得した場合は3%、地方税法附則第11条の2)を乗じて得た額が減額されます。(地方税法第73条の24第3項)
- 土地取得日から1年以内に耐震基準不適合既存住宅を取得した場合
- 土地取得日前1年以内に耐震基準不適合既存住宅を取得していた場合
個人が取得日から6月以内に耐震改修を行い、耐震基準に適合することにつき証明を受け、かつ、本人が居住の用に供したときに限ります。
耐震基準不適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下の中古住宅(地方税法施行令第37条の18第1項)のうち、耐震基準に適合するものとして昭和57年1月1日以後に新築されたこと又は耐震基準に適合することにつき、耐震基準に適合する旨を証する書類を都道府県知事に提出することにより(地方税法施行規則第7条の6)証明がされたもの以外のものをいいます。(地方税法施行令第37条の18第3項)
※耐震基準不適合既存住宅とは、床面積50㎡以上240㎡以下で昭和56年12月31日以前に新築され、耐震基準に適合する旨が証明されていない中古住宅
不動産取得税の申告
納税義務者は、取得日から都道府県税条例で定められた期間内に登記の申請をするか、課税標準の特例の適用を受けるために都道府県知事に不動産取得税の申告書や添付書類を提出しなければなりません。
都道府県 | 申告義務 | 課税標準の特例の適用 |
---|---|---|
東京都 | 取得日から30日以内に登記の申請をした場合は不要 | 取得日から60日以内に申告しなければならない 要件に該当すると認められるときは、規定を適用する |
神奈川県 | 取得日から10日以内に登記の申請をした場合は不要 | 申告しなければならない |
大阪府 | 取得日から20日以内に登記の申請をした場合は不要 | 申告しなければならない |
愛知県 | 取得日から60日以内に登記の申請をした場合は不要 | 取得日から60日以内に申告しなければならない 要件に該当すると認められるときは、規定を適用することができる |
申告書は、登記事項証明書(所在・地番・地積・家屋番号・床面積・用途・構造)や売買契約書(取得日)を確認しながら記入します。以下リンクに記載例があるので参考にしてください。
「不動産取得税申告のご案内」(東京都主税局、2023年7月)
不動産取得税の納付
都道府県税事務所から送付された納税通知書に記載された納期限や納付税額、納付方法を確認して納付します。
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