印紙税法

印紙税法

印紙税法施行令

印紙税法施行規則

印紙税法基本通達

「印紙税の手引」(国税庁、令和5年5月)

  1. 印紙税の意義・性質
  2. 課税文書とは
  3. 1号文書
  4. 2号文書(請負に関する契約書)
  5. 6号文書(定款の原本)
  6. 7号文書(継続的取引の基本契約書)
  7. 13号文書(債務の保証に関する契約書)
  8. 14号文書(金銭又は有価証券の寄託に関する契約書)
  9. 15号文書(債権譲渡又は債務引受けに関する契約書)
  10. 17号文書(金銭又は有価証券の受取書)
  11. 文書の所属の決定
    1. 併記・混合文書は各号の文書
    2. 併記・混合文書の所属の決定
      1. 1~2号と3~17号の併記・混合文書(イ)
      2. 1号と2号の併記・混合文書(ロ)
      3. 3~17号の併記・混合文書(ハ)
      4. 18~20号と1~17号の併記・混合文書(ニ)
  12. 契約金額等・記載金額の計算方法
    1. 同一号に該当する2以上の記載金額(イ)
    2. 併記・混合文書(ロ)
      1. 記載金額を区分できる場合(一)
      2. 記載金額を区分できない場合(ニ)
    3. 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(ハ)
      1. 記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができる場合(一)
      2. 記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができない場合(ニ)
    4. 契約金額等の変更の事実を証すべき文書(ニ)
    5. その他の文書(ホ)
      1. 契約金額等の計算をすることができるとき(一)
      2. 1~2号文書で契約金額等の計算をすることができるとき及び契約金額が明らかであるとき(ニ)
      3. 受取書で受取金額が明らかであるとき(三)
    6. 外国通貨により記載されている場合(ヘ)

印紙税の意義・性質

印紙税とは、課税文書について、課税文書の作成者が、印紙税に相当する金額の印紙(相当印紙)を課税文書の作成の時までに課税文書にはり付け、作成者等の印章又は署名により消印をすることによる納付する国税です。

写し・副本・謄本であっても、署名捺印があるもの、正本・原本と相違ないことの当事者の証明があるもの、写し・副本・謄本であることの当事者の証明のあるものは、契約の成立等を証明するために作成されたため、課税文書です。当事者ではなく所持者のみが署名捺印・証明しているものは課税文書とはなりません。プリンターで印刷しただけのものは、署名捺印・証明がなければ単なる写しであって、契約書ではありません。電磁的記録として送信する場合も、正本を交付しているわけではないため課税文書とはなりません。電磁的記録を受信した場合も、単なる写しであって課税文書とはなりません。「印紙税の手引」(国税庁、令和5年5月)

項目内容
課税物件別表第1(課税物件表)の課税物件欄に掲げる文書
印紙税法第2条
非課税文書・非課税物件の欄に掲げる文書
・国、地方公共団体、非課税法人(別表第2(非課税法人の表))が作成した文書
・非課税文書(別表第3(非課税文書の表)
印紙税法第5条
納税義務者課税文書の作成者(共同作成文書は連帯)
※課税文書=課税物件-非課税文書
印紙税法第3条
納税地・作成場所
・作成場所が明らかでない場合は事務所等の所在地、住所
・共同作成文書は所持場所
・所持していない共同作成文書は最先記載者を作成者とした場合の事務所等の所在地、住所
印紙税法第6条印紙税法施行令第4条
課税標準別表第1(課税物件表)の定めによる
通常は記載された契約金額・通数を課税標準とする
印紙税法第7条
税率別表第1(課税物件表)の定めによる
印紙税法第7条
納付手続課税文書の作成者が、原則、印紙税に相当する金額の印紙(相当印紙)を、課税文書の作成の時までに課税文書にはり付ける方法
作成者又はその代理人、従業者の印章又は署名により、課税文書と印紙の彩紋とにかけ判明に消印をする
印紙税法第8条印紙税法施行令第5条
過怠税・相当印紙のはり付けにより印紙税を納付すべき課税文書の作成者が課税文書の作成の時までに納付しなかった場合、不納税額とその2倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する
・賦課決定を予知しない自発的申出をすると、不納税額とその10%の合計額に相当する金額とする
・消印なしは額面相当金額の過怠税を徴収する
・過怠税は1,000円未満でも1,000円とする(自発的申出の部分のみならこれを適用しない)
印紙税法第20条

課税文書とは

課税文書とは、別表第1(課税物件表)の課税物件欄に掲げる文書により証されるべき事項(課税事項)が記載され、かつ、当事者間において課税事項を証明する目的で作成された文書のうち、非課税文書以外の文書です。(印紙税法基本通達第2条

課税文書に該当するかどうかは、記載されている個々の内容について、記載文言の実質的な意義に基づいて判断します。(印紙税法基本通達第3条

1号文書

次の1号文書は記載された契約金額を課税標準として、次の税率とされています。

  • 不動産の譲渡に関する契約書(1号文書)
  • 借地権(地上権又は土地の賃借権)の設定又は譲渡に関する契約書(1号の2文書)
  • 消費貸借に関する契約書(1号の3文書)
記載された契約金額本則税率軽減税率
契約金額の記載がない200円軽減措置の適用なし
1円以上1万円未満非課税非課税
1万円以上10万円以下200円軽減措置の適用なし
10万円超え50万円以下400円200円
50万円超え100万円以下1,000円500円
100万円超え500万円以下2,000円1,000円
500万円超え1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超え5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超え1億円以下6万円3万円
1億円超え5億円以下10万円6万円
5億円超え10億円以下20万円16万円
10億円超え50億円以下40万円32万円
50億円超え60万円48万円

令和9年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書については税額が軽減されますが、借地権の譲渡は軽減措置の適用対象外です。(租税特別措置法第91条

もっとも、契約書に借地権だけでなく建物の金額も併記した場合は、合計金額について軽減措置の適用対象となります。

仮に売買契約書で借地権2,000万円としか記載していない場合は軽減措置が適用されず印紙税の額は2万円です。他方、契約書に借地権500万円と建物1,500万円を併記した場合は、軽減措置が適用されて印紙税の額は1万円となります。

2号文書(請負に関する契約書)

記載された契約金額本則税率
契約金額の記載がない200円
1円以上1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円超え200万円以下400円
200万円超え300万円以下1,000円
300万円超え500万円以下2,000円
500万円超え1,000万円以下1万円
1,000万円超え5,000万円以下2万円
5,000万円超え1億円以下6万円
1億円超え5億円以下10万円
5億円超え10億円以下20万円
10億円超え50億円以下40万円
50億円超え60万円

6号文書(定款の原本)

定款の原本は、1通につき4万円です。

7号文書(継続的取引の基本契約書)

継続的取引の基本契約書は、3月以内の契約期間の記載があって更新の定めがない場合を除いて課税文書となり、1通につき4,000円です。

次の契約書でなければ、継続的取引の基本契約書とはなりません。(印紙税法施行令第26条

  • 営業者間において売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する2以上の取引を継続して行うため作成される契約書で、2以上の取引に共通して適用される条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格を定める契約書
  • 売買に関する業務、金融機関の業務、保険契約の締結の代理若しくは媒介の業務又は株式の発行若しくは名義書換えの事務を継続して委託するため作成される契約書で、委託される業務又は事務の範囲又は対価の支払方法を定める契約書
  • 金融機関から信用の供与を受ける者と当該金融機関との間において、貸付け(手形割引及び当座貸越しを含む)、支払承諾、外国為替その他の取引によつて生ずる当該金融機関に対する一切の債務の履行について包括的に履行方法その他の基本的事項を定める契約書
  • 金融商品取引業者又商品先物取引業者とこれらの顧客との間において、有価証券又は商品の売買に関する2以上の取引(有価証券の売買にあつては信用取引又は発行日決済取引に限り、商品の売買にあつては商品市場における取引(商品清算取引を除く。)に限る。)を継続して委託するため作成される契約書で、当該2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち受渡しその他の決済方法、対価の支払方法又は債務不履行の場合の損害賠償の方法を定めるもの
  • 損害保険会社と保険契約者との間において、2以上の保険契約を継続して行うため作成される契約書で、これらの保険契約に共通して適用される保険要件のうち保険の目的の種類、保険金額又は保険料率を定めるもの

13号文書(債務の保証に関する契約書)

債務の保証に関する契約書は、1通につき200円です。

14号文書(金銭又は有価証券の寄託に関する契約書)

金銭又は有価証券の寄託に関する契約書は、1通につき200円です。

15号文書(債権譲渡又は債務引受けに関する契約書)

債権譲渡又は債務引受けに関する契約書は、1通につき200円です。ただし、契約金額が1円以上1万円未満のものは非課税となります。

17号文書(金銭又は有価証券の受取書)

記載された受取金額本則税率
売上代金に係らない受取書
・受取金額の記載がない
200円
・1円以上5万円未満
・営業に関しない受取書
非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円超え200万円以下400円
200万円超え300万円以下600円
300万円超え500万円以下1,000円
500万円超え1,000万円以下2,000円
1,000万円超え2,000万円以下4,000円
2,000万円超え3,000万円以下6,000円
3,000万円超え5,000万円以下1万円
5,000万円超え1億円以下2万円
1億円超え2億円以下4万円
2億円超え3億円以下6万円
3億円超え5億円以下10万円
5億円超え10億円以下15万円
10億円超え20万円

文書の所属の決定

文書は課税物件表の各号の規定(物件名)により何号文書かの所属を決定しますが、決定不能の場合は、課税物件表の適用に関する通則の第2項及び第3項の定めにより所属を決定します。(印紙税法別表第1 課税物件表の適用に関する通則第1項

併記・混合文書は各号の文書

1つの文書の記載事項が2以上の号の文書により称されるべき事項に該当する文書などは、まず、それぞれの号に掲げる文書とされます。(印紙税法別表第1 課税物件表の適用に関する通則第2項

具体的には、次のような文書です。(印紙税法基本通達第10条

  • 2以上の号の課税事項が併記・混合して記載されている文書
    例)不動産及び債権売買契約書(号が異なる
  • 課税事項とその他の事項が併記・混合して記載されている文書
    例)土地売買及び建物移転補償契約書(号は同じ
  • 2以上の号の課税事項が同時に記載されている文書

なお、「一の文書」とは、形態からみて1個の文書と認められる文書をいいます。(印紙税法基本通達第5条

併記・混合文書の所属の決定

印紙税法別表第1 課税物件表の適用に関する通則第3項印紙税法基本通達第11条

1~2号と3~17号の併記・混合文書(イ)

1~2号と3~17号の併記・混合文書は、原則として1号又は2号文書となります。ただし、契約金額の記載がない1~2号文書と7号文書の場合は7号文書です。

また、1~2号と17号の併記・混合文書のうち、契約金額を超える100万円超えの売上代金の受取金額の記載がある文書又は契約金額の記載がなく100万円超えの売上代金の受取金額の記載がある文書は17号文書とします。

1号と2号の併記・混合文書(ロ)

1号と2号の併記・混合文書は、1号文書とします。ただし、1号部分と2号部分で契約金額の記載が区分されていて、2号金額のほうが大きいときは2号文書です。

3~17号の併記・混合文書(ハ)

3~17号の併記・混合文書は、若い号の文書とします。ただし、100万円超えの売上代金の受取金額の記載がある場合は17号文書です。

18~20号と1~17号の併記・混合文書(ニ)

省略します。

契約金額等・記載金額の計算方法

契約金額等・記載金額の計算方法は、次のとおりです。(印紙税法別表第1 課税物件表の適用に関する通則第4項

消費税は、区分記載や税込・税抜によりその額が明らかである場合は、1号・2号・17号文書については記載金額に含めません。他方、3号、15号文書は含めます。「印紙税の手引」(国税庁、令和5年5月)

同一号に該当する2以上の記載金額(イ)

同一号に該当する2以上の記載金額があるときは、合計金額とします。

併記・混合文書(ロ)

売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書の場合は、併記・混合文書(ロ)ではなく、後述する「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(ハ)」の定めによります。

記載金額を区分できる場合(一)

記載金額を区分できる場合は、決定された所属の号の文書により証されるべき事項の金額を記載金額とします。

記載金額を区分できない場合(ニ)

記載金額を区分できない場合は、決定された所属の号の文書により証されるべき事項ではないと明らかにされている部分がある場合はその金額を除き、原則として記載金額とします。

売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(ハ)

記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができる場合(一)

記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができる場合は、売上代金に係る金額を受取書の記載金額とします。

記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができない場合(ニ)

記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができない場合は、売上代金に係る金額以外の金額として明らかにされている部分を除き、原則としてその記載金額を受取書の記載金額とします。

契約金額等の変更の事実を証すべき文書(ニ)

省略します。

その他の文書(ホ)

契約金額等の計算をすることができるとき(一)

記載されている単価及び数量、記号その他によりその契約金額等の計算をすることができるときは、その計算により算出した金額を当該文書の記載金額とします。

1~2号文書で契約金額等の計算をすることができるとき及び契約金額が明らかであるとき(ニ)

1号又は2号文書に、契約についての契約金額又は単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該契約についての契約金額が明らかであるとき又は当該契約についての契約金額の計算をすることができるときは、当該明らかである契約金額又は当該計算により算出した契約金額を記載金額とします。

受取書で受取金額が明らかであるとき(三)

売上代金として受け取る有価証券の受取書に当該有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があること、17号文書のうち売上代金として受け取る金銭若しくは有価証券の受取書に当該売上代金に係る受取金額の記載のある支払通知書、請求書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該売上代金に係る受取金額が明らかであるときは、当該明らかである受取金額を当該受取書の記載金額としま。

外国通貨により記載されている場合(ヘ)

文書の記載金額が外国通貨により表示されている場合は、作成日における基準外国為替相場又は裁定外国為替相場により本邦通貨に換算した金額を記載金額とします。

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