- 既に、裁判所が相当と認めるときは、弁論準備手続と和解期日については電話会議ができるようになっている
- ウェブ会議等による口頭弁論はできなかったが、裁判所が相当と認めるときはできるようになった(令和6年3月1日施行)。ただし、家庭裁判所の訴訟(人事訴訟等)については、令和7年9月までに施行予定。
- 訴状等のオンライン提出はできないが、できるようになる(令和7年度中)
- 証人尋問・当事者尋問は遠隔地に居住している、精神の平穏を著しく害されるおそれがある場合に限ってテレビ会議等ができるが、出頭困難である場合、当事者の異議がない場合にもできるようになる(令和7年度中)
民事訴訟法等の一部を改正する法律について(令和6年3月21日更新、法務省)
既に施行されているもの
弁論準備手続・和解期日の電話会議システム
裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聞いて、裁判所または受命裁判官が通話者と通話者の所在する場所の状況が当該方法によって手続を実施するために適切なものであることを確認し、電話会議システムによって手続を進められます(民事訴訟法第170条)
遠隔地要件は廃止され、当事者双方が電話会議システムによることができるようになりました。
以降紹介するのは、施行されていないものです。
ウェブ会議等による口頭弁論
裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、口頭弁論期日をウェブ会議で行うことができるようになります。映像が必要なので、電話会議はできません。
施行期日は、令和6年3月1日となりました。(令和5年12月15日政令第356号)
※令和5年12月12日の閣議で「民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が決定され、同日に閣議後記者会見で閣議決定された旨の報告がされ、3日後の令和5年12月15日に公布となり、官報(号外第263号)に次のとおり掲載されました。
(映像と音声の送受信による通話の方法による口頭弁論等)
第八十七条の二 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、口頭弁論の期日における手続を行うことができる。
2 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、審尋の期日における手続を行うことができる。
3 前二項の期日に出頭しないでその手続に関与した当事者は、その期日に出頭したものとみなす。
電磁的記録の閲覧等
訴訟記録は、非電磁的訴訟記録と電磁的訴訟記録に区分され、電磁的訴訟記録は、裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された事項の内容を、最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができるようになります。
当事者及び利害関係を疎明した第三者は、システムを通じてダウンロードまたは複写する方法も可能なようです。
(電磁的訴訟記録の閲覧等)
第九十一条の二 何人も、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的訴訟記録(訴訟記録中この法律その他の法令の規定により裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(次項及び第三項、次条並びに第百九条の三第一項第二号を除き、以下単に「ファイル」という。)に記録された事項(第百三十二条の七及び第百三十三条の二第五項において「ファイル記録事項」という。)に係る部分をいう。以下同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。
2 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、電磁的訴訟記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。
3 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的訴訟記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的訴訟記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的訴訟記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。
4 前条第二項及び第五項の規定は、第一項及び第二項の規定による電磁的訴訟記録に係る閲覧及び複写の請求について準用する。
(訴訟に関する事項の証明)
第九十一条の三 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、訴訟に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。
2022年5月25日から4年以内(2026年5月25日)には一律で可能になる法改正が施行される予定で、改正法の施行は令和7年度中(2025年)が予定されています(法務省)。
期日の呼出し
期日の呼出しは、電子呼出状を送達する方法、出頭者に対して告知する方法その他相当と認める方法によってすることとされます。
(期日の呼出し)
第九十四条 期日の呼出しは、次の各号のいずれかに掲げる方法その他相当と認める方法によってする。
一 ファイルに記録された電子呼出状(裁判所書記官が、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判長が指定した期日に出頭すべき旨を告知するために出頭すべき者において出頭すべき日時及び場所を記録して作成した電磁的記録をいう。次項及び第二百五十六条第三項において同じ。)を出頭すべき者に対して送達する方法
二 当該事件について出頭した者に対して期日の告知をする方法
2 裁判所書記官は、電子呼出状を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。
3 第一項各号に規定する方法以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない当事者、証人又は鑑定人に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、これらの者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。
2022年5月25日から4年以内(2026年5月25日)には一律で可能になる法改正が施行される予定で、改正法の施行は令和7年度中(2025年)が予定されています(法務省)。
電磁的記録の送達
送達は、書類の送達と電磁的記録の送達に区分されることとなります。
電磁的記録になるとはいえ、原則として送達すべき電磁的記録に記録されている事項を出力して作成した書面によってされます。
ただし、送達すべき電磁的記録に記録されている事項について閲覧又は記録が可能な措置(送達の効力が発生)をとるとともに、送達を受けるべき者が当該方法により送達を受ける旨の届出をしている場合に限り、システムを使用して通知を発する方法によって送達することができるとします。
第三款 電磁的記録の送達
(電磁的記録に記録された事項を出力した書面による送達)
第百九条 電磁的記録の送達は、特別の定めがある場合を除き、前款の定めるところにより、この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された送達すべき電磁的記録(以下この節において単に「送達すべき電磁的記録」という。)に記録されている事項を出力することにより作成した書面によってする。
(電子情報処理組織による送達)
第百九条の二 電磁的記録の送達は、前条の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、送達すべき電磁的記録に記録されている事項につき次条第一項第一号の閲覧又は同項第二号の記録をすることができる措置をとるとともに、送達を受けるべき者に対し、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用して当該措置がとられた旨の通知を発する方法によりすることができる。ただし、当該送達を受けるべき者が当該方法により送達を受ける旨の最高裁判所規則で定める方式による届出をしている場合に限る。
2 前項ただし書の届出をする場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、同項本文の通知を受ける連絡先を受訴裁判所に届け出なければならない。この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。
3 第一項本文の通知は、前項の規定により届け出られた連絡先に宛てて発するものとする。
(電子情報処理組織による送達の効力発生の時期)
第百九条の三 前条第一項の規定による送達は、次に掲げる時のいずれか早い時に、その効力を生ずる。
一 送達を受けるべき者が送達すべき電磁的記録に記録されている事項を最高裁判所規則で定める方法により表示をしたものの閲覧をした時
二 送達を受けるべき者が送達すべき電磁的記録に記録されている事項についてその使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録をした時
三 前条第一項本文の通知が発せられた日から一週間を経過した時
2 送達を受けるべき者がその責めに帰することができない事由によって前項第一号の閲覧又は同項第二号の記録をすることができない期間は、同項第三号の期間に算入しない。
(電子情報処理組織による送達を受ける旨の届出をしなければならない者に関する特例)
第百九条の四 第百九条の二第一項ただし書の規定にかかわらず、第百三十二条の十一第一項各号に掲げる者に対する第百九条の二第一項の規定による送達は、その者が同項ただし書の届出をしていない場合であってもすることができる。この場合においては、同項本文の通知を発することを要しない。
2 前項の規定により送達をする場合における前条の規定の適用については、同条第一項第三号中「通知が発せられた」とあるのは、「措置がとられた」とする。
2022年5月25日から4年以内(2026年5月25日)には一律で可能になる法改正が施行される予定で、改正法の施行は令和7年度中(2025年)が予定されています(法務省)。
訴状等のオンライン提出(電子情報処理組織による申立て等)
民事訴訟に関する手続における申立てや申述(訴状や準備書面の提出など)のうち、民事訴訟規則第3条第1項の規定により書面等をファクシミリを利用して送信することにより裁判所に提出することができるものについては、当事者双方に委任を受けた訴訟代理人(許可代理人を除く)があり、かつ当事者双方において希望する事件など、裁判所が相当と認める事件の申し立てに限り(規則第1条第1項)、対応裁判所に対しては、電子情報処理組織を用いてすることができます。(民事訴訟法第132条の10)
ファクシミリにより送信・提出ができないもの
ファクシミリを利用した送信・提出ができないものは次のとおりです。
- 手数料を納付しなければならない申立書面
- 訴状
- 反訴状
- 控訴状
- 上告状
- 上告受理の申立書
- 附帯控訴状
- 抗告状
- 再抗告状
- 特別抗告状
- 抗告許可申立書
- 附帯抗告状
- 請求の拡張の記載のある準備書面
- 補助参加の申出書
- 秘匿事項届出書面
- 訴訟手続の開始、続行、停止、完結をさせる書面
- 訴えの取下書
- 抗告の取下書
- 控訴の取下書
- 上告の取下書
- 取下げの同意書
- 請求の放棄をする旨の書面
- 請求を認諾する旨の書面
- 請求の減額の記載がある準備書面
- 裁判官に対する除斥申立書
- 上訴権放棄書
- 訴訟手続上重要な事項を証明する書面
- 資格証明書
- 訴訟委任状
- 上告理由書
- 上告受理申立て理由書
ファクシミリにより送信・提出ができるもの
- 準備書面
- 書証の写し
- 証拠申出書
- 証拠説明書
- 尋問事項書
- 書証認否等理由書
- 期日変更申請書
- 期日請書
- 和解条項案
- 控訴理由書
- 反論書など
(電子情報処理組織による申立て等)
引用元:新法第132条の10
第132条の10 民事訴訟に関する手続における申立てその他の申述(以下「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この章において同じ。)をもってするものとされているものであって、裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用して当該書面等に記載すべき事項をファイルに記録する方法により行うことができる。
2 前項の方法によりされた申立て等(以下この条において「電子情報処理組織を使用する申立て等」という。)については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該法令その他の当該申立て等に関する法令の規定を適用する。
3 電子情報処理組織を使用する申立て等は、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る事項がファイルに記録された時に、当該裁判所に到達したものとみなす。
4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。
5 電子情報処理組織を使用する申立て等がされたときは、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る送達は、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る法令の規定にかかわらず、当該電子情報処理組織を使用する申立て等によりファイルに記録された事項に係る電磁的記録の送達によってする。
6 前項の方法により行われた電子情報処理組織を使用する申立て等に係る送達については、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に関する法令の規定に規定する送達の方法により行われたものとみなして、当該送達に関する法令その他の当該電子情報処理組織を使用する申立て等に関する法令の規定を適用する。
訴状等であっても、システムを使用して書面等に記載すべき事項を裁判所のPCファイルに記録する方法によって行うことができるようになります。署名等が必要な申立て等については、署名等に代えて最高裁判所規則で定める氏名又は名称を明らかにする措置をしなければなりません。
送達も、電磁的記録の送達によってされます。届出をすると電磁的記録のまま、しない場合は出力書面です。
また、弁護士代理人はインターネットでの申し立て等が義務付けられます。
訴状等のオンライン提出は、当事者双方に弁護士が付いている場合に限られていますが、2022年5月25日から4年以内(2026年5月25日)には一律で可能になる法改正が施行される予定で、改正法の施行は令和7年度中(2025年)が予定されています(法務省)。
準備書面
準備書面は、送達されたか受領した旨を記載した書面が提出されたかだけでなく、裁判所サーバーに保存された準備書面ファイルの閲覧をするか複写をした場合には、在廷していない口頭弁論においても主張することができることとなります。
これで、FAXによる準備書面のやり取りで受領書のやり取りの手間を省くことも可能です。
なお、準備書面の提出期間を守らなかった当事者は、その理由を裁判所に説明しなければならないこととなります。
(準備書面)
第百六十一条 口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
2 準備書面には、次に掲げる事項を記載する。
一 攻撃又は防御の方法
二 相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述
3 相手方が在廷していない口頭弁論においては、次の各号のいずれかに該当する準備書面に記載した事実でなければ、主張することができない。
一 相手方に送達された準備書面
二 相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出された場合における当該準備書面
三 相手方が第九十一条の二第一項の規定により準備書面の閲覧をし、又は同条第二項の規定により準備書面の複写をした場合における当該準備書面(準備書面等の提出期間)
第百六十二条 裁判長は、答弁書若しくは特定の事項に関する主張を記載した準備書面の提出又は特定の事項に関する証拠の申出をすべき期間を定めることができる。
2 前項の規定により定めた期間の経過後に準備書面の提出又は証拠の申出をする当事者は、裁判所に対し、その期間を遵守することができなかった理由を説明しなければならない。
2022年5月25日から4年以内(2026年5月25日)には一律で可能になる法改正が施行される予定で、改正法の施行は令和7年度中(2025年)が予定されています(法務省)。
ウェブ会議による和解の試み
映像等の送受信による通話の方法による尋問
裁判所は、次の場合であって相当と認めるときは、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって証人の尋問をすることができるようになります。
- 証人の住所・年齢・心身の状態その他の事情により、証人が受訴裁判所に出頭することが困難であると認める場合(新設)
- 事案の性質・証人の年齢・心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係その他の事情により、証人が裁判長及び当事者が証人を尋問するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合
- 当事者に異議がない場合(新設)
遠隔地要件は廃止されました。
当事者尋問もこの規定が準用されています。
電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べ
電磁的記録を記録媒体又はシステムによりそのまま提出することができることとなります。
第五節の二 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べ
(電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出)
第二百三十一条の二 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、当該電磁的記録を提出し、又は当該電磁的記録を利用する権限を有する者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
2 前項の規定による電磁的記録の提出は、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
(書証の規定の準用等)
第二百三十一条の三 第二百二十条から第二百二十八条まで(同条第四項を除く。)及び第二百三十条の規定は、前条第一項の証拠調べについて準用する。この場合において、第二百二十条、第二百二十一条第一項第三号、第二百二十二条、第二百二十三条第一項及び第四項から第六項まで並びに第二百二十六条中「文書の所持者」とあるのは「電磁的記録を利用する権限を有する者」と、第二百二十条第一号中「文書を自ら所持する」とあるのは「電磁的記録を利用する権限を自ら有する」と、同条第二号中「引渡し」とあるのは「提供」と、同条第四号ニ中「所持する文書」とあるのは「利用する権限を有する電磁的記録」と、同号ホ中「書類」とあるのは「電磁的記録」と、「文書」とあるのは「記録媒体に記録された電磁的記録」と、第二百二十一条(見出しを含む。)、第二百二十二条、第二百二十三条の見出し、同条第一項、第三項、第六項及び第七項、第二百二十四条の見出し及び同条第一項並びに第二百二十五条の見出し及び同条第一項中「文書提出命令」とあるのは「電磁的記録提出命令」と、第二百二十四条第一項及び第三項中「文書の記載」とあるのは「電磁的記録に記録された情報の内容」と、第二百二十六条中「第二百十九条」とあるのは「第二百三十一条の二第一項」と、同条ただし書中「文書の正本又は謄本の交付」とあるのは「電磁的記録に記録された情報の内容の全部を証明した書面の交付又は当該情報の内容の全部を証明した電磁的記録の提供」と、第二百二十七条中「文書」とあるのは「電磁的記録を記録した記録媒体」と、第二百二十八条第二項中「公文書」とあるのは「もの」と、同条第三項中「公文書」とあるのは「公務所又は公務員が作成すべき電磁的記録」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する第二百二十三条第一項の命令に係る電磁的記録の提出及び前項において準用する第二百二十六条の嘱託に係る電磁的記録の送付は、最高裁判所規則で定めるところにより、当該電磁的記録を記録した記録媒体を提出し、若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
電子判決書
判決書は、電子判決書となります。電子判決書の送達は、出力書面の送達か、閲覧又は記録が可能な措置(送達の効力が発生)をとるとともに、送達を受けるべき者が当該方法により送達を受ける旨の届出をしている場合に限り、システムを使用して通知を発する方法によって送達することができることとされます。(訴状の送達と同じ)
(電子判決書)
第二百五十二条 裁判所は、判決の言渡しをするときは、最高裁判所規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記録した電磁的記録(以下「電子判決書」という。)を作成しなければならない。
一 主文
二 事実
三 理由
四 口頭弁論の終結の日
五 当事者及び法定代理人
六 裁判所
2 前項の規定による事実の記録においては、請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示しなければならない。
(言渡しの方式)
第二百五十三条 判決の言渡しは、前条第一項の規定により作成された電子判決書に基づいてする。
2 裁判所は、前項の規定により判決の言渡しをした場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、言渡しに係る電子判決書をファイルに記録しなければならない。
(電子判決書等の送達)
第二百五十五条 電子判決書(第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項、第二百八十五条、第三百五十五条第二項、第三百五十七条、第三百七十八条第一項及び第三百八十一条の七第一項において同じ。)又は前条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録された電子調書(第百六十条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項、第二百六十一条第五項、第二百八十五条、第三百五十七条及び第三百七十八条第一項において同じ。)は、当事者に送達しなければならない。
2 前項に規定する送達は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
一 電子判決書又は電子調書に記録されている事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が当該電子判決書又は当該電子調書に記録されている事項と同一であることを証明したものの送達
二 第百九条の二の規定による送達
迅速化関係
手数料
改正後は、手数料を納付しない場合は、裁判所書記官は相当の期間を定めて手数料を納付すべきことを命ずる処分をすることができるようになります。
口頭弁論期日の指定及び変更
口頭弁論期日の指定及び変更は、申立てにより又は職権で、裁判長が行うこととされます。
準備書面の提出・証拠申出期間
裁判長が指定した準備書面の提出・証拠申出期間を経過して提出又は申出をする当事者は、裁判所に対し、その期間を遵守することができなかった理由を説明しなければならないものとされます。
法定審理期間訴訟手続
当事者が裁判所に対して法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすると、事案の性質、訴訟追行による当事者の負担の程度その他の事情に鑑み、法定審理期間訴訟手続によることが当事者間の衡平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認めるときを除き、法定審理期間訴訟手続によることを決定しなければならなくなります。当事者間の同意があるときも同様です。この場合、2週間以内に口頭弁論又は弁論準備手続の期日を指定しなければならず、その期日から6月以内で口頭弁論終結日を指定し、終結日から1月以内に判決言渡し期日を指定しなければなりません。当事者の一方でも通常手続移行の旨を申し出たとき、迅速審理の法定審理期間訴訟手続によるのが困難であると認めるときは、通常の審理及び裁判をする旨の決定をしなければなりません。
第七編 法定審理期間訴訟手続に関する特則
(法定審理期間訴訟手続の要件)
第三百八十一条の二 当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすることができる。ただし、次に掲げる訴えに関しては、この限りでない。
一 消費者契約に関する訴え
二 個別労働関係民事紛争に関する訴え
2 当事者の双方が前項の申出をした場合には、裁判所は、事案の性質、訴訟追行による当事者の負担の程度その他の事情に鑑み、法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認めるときを除き、訴訟を法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。当事者の一方が同項の申出をした場合において、相手方がその法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判をすることに同意したときも、同様とする。
3 第一項の申出及び前項後段の同意は、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論又は弁論準備手続の期日においては、口頭ですることを妨げない。
4 訴訟が法定審理期間訴訟手続に移行したときは、通常の手続のために既に指定した期日は、法定審理期間訴訟手続のために指定したものとみなす。
(法定審理期間訴訟手続の審理)
第三百八十一条の三 前条第二項の決定があったときは、裁判長は、当該決定の日から二週間以内の間において口頭弁論又は弁論準備手続の期日を指定しなければならない。
2 裁判長は、前項の期日において、当該期日から六月以内の間において当該事件に係る口頭弁論を終結する期日を指定するとともに、口頭弁論を終結する日から一月以内の間において判決言渡しをする期日を指定しなければならない。
3 前条第二項の決定があったときは、当事者は、第一項の期日から五月(裁判所が当事者双方の意見を聴いて、これより短い期間を定めた場合には、その期間)以内に、攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。
4 裁判所は、前項の期間が満了するまでに、当事者双方との間で、争点及び証拠の整理の結果に基づいて、法定審理期間訴訟手続の判決において判断すべき事項を確認するものとする。
5 法定審理期間訴訟手続における証拠調べは、第一項の期日から六月(裁判所が当事者双方の意見を聴いて、これより短い期間を定めた場合には、その期間)以内にしなければならない。
6 法定審理期間訴訟手続における期日の変更は、第九十三条第三項の規定にかかわらず、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。
(通常の手続への移行)
第三百八十一条の四 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
一 当事者の双方又は一方が訴訟を通常の手続に移行させる旨の申出をしたとき。
二 提出された攻撃又は防御の方法及び審理の現状に照らして法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をするのが困難であると認めるとき。
2 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
3 訴訟が通常の手続に移行したときは、法定審理期間訴訟手続のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
(法定審理期間訴訟手続の電子判決書)
第三百八十一条の五 法定審理期間訴訟手続の電子判決書には、事実として、請求の趣旨及び原因並びにその他の攻撃又は防御の方法の要旨を記録するものとし、理由として、第三百八十一条の三第四項の規定により当事者双方との間で確認した事項に係る判断の内容を記録するものとする。
(控訴の禁止)
第三百八十一条の六 法定審理期間訴訟手続の終局判決に対しては、控訴をすることができない。ただし、訴えを却下した判決に対しては、この限りでない。
(異議)
第三百八十一条の七 法定審理期間訴訟手続の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、電子判決書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
2 第三百五十八条から第三百六十条まで及び第三百六十四条の規定は、前項の異議について準用する。
(異議後の審理及び裁判)
第三百八十一条の八 適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
2 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
3 裁判所は、異議後の判決があるまで、法定審理期間訴訟手続の終局判決の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
4 第三百六十二条及び第三百六十三条の規定は、第一項の審理及び裁判について準用する。
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